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■祝辞 白井 克彦 早稲田大学総長
本日ここに、慶應義塾創立150年記念式典を開催されますことを心よりお慶び申し上げ、早稲田大学を代表し安西祐一郎塾長をはじめ、教職員、塾生そしてOB・OGの皆様方に祝辞を申し述べさせていただきます。
慶應義塾の創立者福澤諭吉先生と、早稲田大学の創立者大隈重信が出合ったのは1871年(明治四年)の暮から翌年初めのことでありました。以来、二人は意気投合し、明治14年の政変時における協力関係をはじめとして、互いに深く認め合い志を同じくする間柄となられました。
福澤先生は「一身独立して一家独立し、一家独立して一国独立し、一国独立して天下独立す」と唱えられ、大隈は「一国の独立は国民の独立に基いし、国民の独立はその精神の独立に根ざす。而して国民精神の独立は実に学問の独立に由る」と右腕の小野梓とともに唱え、まさに「一国の独立」は如何にあるべきかという日本の国づくりの基本方向を示されたのであります。
お二人が示されたこの思想は、いつの世であっても、あらゆる社会で通用する普遍的なものと言うべきものであり、混迷を深め困難の度合いを増してゆく、今日の地球社会を救うことのできる根本思想であると言って過言ではないでしょう。
福澤先生は適塾で、大隈は致遠館における生活を通じて人材育成の重要性を認識し、この根本思想を以て、慶應義塾と早稲田大学を創立されたのであります。
以来、両校はこの偉大なる志を畏敬と感謝の念を以て受け継ぎ、兄弟・姉妹の如く刺激し合い、高め合いながら切磋琢磨して発展を続けて参りました。これからも、世界に冠たる大学となるよう、これまで以上の進化を遂げて行かねばなりません。
慶應義塾が150年という崇高な歩みを止められることなく、今後も日本と世界をリードし続けられることを強く願い、私の祝辞とさせていただきます。