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■祝辞 福澤 武 評議員会議長(塾員代表)
本日、天皇皇后両陛下のご臨席を賜りまして、ここに慶應義塾創立150年記念式典がとり行われること、まことに慶賀に存じます。
福澤諭吉は「自分は一身にして二生を経る体験をした」と述べております。明治維新前と以後では、世の中がまったく変わった。これは一人で二人分の生涯を経験したようなものだと、こういうことを言っているわけです。
私は、一身にして三生を経る経験を目下していると思っております。戦前、戦後で二生を経る経験をし、そして目下この大変動の時期にあって、いま、新しい世界に入っているわけですが、これで三生を経験しつつあると考えております。
この大変動期に慶應義塾は創立150年を迎えたわけでありますが、福澤諭吉が日本の将来のために、各分野に先導者を送り出したように、慶應義塾はこの150年を期して、諭吉が言った「慶應義塾は単に一所の学塾にあらず、日本国中の気品の泉源智徳の模範たらんことを期し、そして社会の先導者となることを欲する」。この精神をもって、この学塾を一層強化充実させるべく、いま取り組んでいるところであります。
塾員、塾生、教職員、そして慶應の関係者一同、この機会に改めて諭吉の言っている精神を再認識しまして、各それぞれの分野におきまして、先導者の役割を果たすべく、周囲の人たちと協力をしながら、世界を平和な健全なものにすべく、今日テイク・オフをしたいと思います。
本日はまことにおめでとうございました。