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慶應義塾

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創立150年記念式典

おことば・式辞・祝辞・誓いの言葉

■天皇陛下のおことば

天皇陛下 慶應義塾創立150年に当たり、海外からの参列者を含む大勢の関係者と共に、この記念式典に臨むことを喜ばしく思います。
 慶應義塾はその創立者、福澤諭吉が、今から150年前の安政5年、1858年に江戸に蘭学塾を開いたことに始まりますが、この蘭学塾が開かれた1858年は、日本にとっても誠に重大な年でありました。それまで日本は、ほぼ200年にわたり鎖国政策を続けていましたが、嘉永6年、1853年に来航した米国艦隊のペリー提督との交渉の結果、もはやその政策を維持することができなくなり、米、英、仏、露、蘭の5か国と修好通商条約を結び、開国に向かって歩み出しました。1858年は、これらの条約を調印した年でありましたが、開国支持者と、それに反対する勢力が争う中での、厳しい出発でありました。このような困難な状況の中で、世界の情勢と欧州の文物を、オランダ語を通して学んでいた人々が、開国した日本を支える上に、重要な役割を果たしました。申すまでもなく、福澤諭吉はその一人であり、著作を通じ、また慶應義塾の教育を通して、我が国の人々に大きな影響を与えました。そうした中、日本は修好通商条約調印から31年にして、大日本帝国憲法を発布し、翌年には、第1回帝国議会を開くまでに近代国家としての制度を整えるに至っています。長い平和な鎖国時代に国民が文化を享受し、国民の識字率も高い状態にあったとは申せ、このように短期間に国が発展した陰には、当時の志ある人々が、いかばかり努力をしたかとの思いを深くするのであります。
 慶應義塾は、今日まで、福澤諭吉の教えである「独立自尊」の精神を基に、我が国の各分野において、国の発展と国民の幸せに貢献する多くの人々を育て、また、文化の向上に寄与するとともに、外国人留学生の受入れなど国際交流にも意を用いてきました。
 今日、我が国は、幾多の課題に直面しており、また、国際社会において、日本が各国との協力の下に対処していかなければならない問題も少なくありません。このような状況下、教育が果たすべき役割は、誠に重要であり、今後も慶應義塾が、国の内外で活躍する人材を数多く育て、送り出すことを期待しています。
 創立150年という、この喜ぶべき節目の年に当たり、慶應義塾と我が国の歴史を併せて顧み、塾の関係者が、これからの日々の歩みにおいても、教育に、研究に、更なる力を尽くされることを願い、私のお祝いの言葉といたします。