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慶應義塾

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イベント報告

創立150年記念国際コンファレンス

"Asian Economic Panel Meeting"

2006年9月29日(金)

慶應義塾大学三田キャンパス

2006年9月29日、慶應義塾大学三田キャンパスにおいて"Asian Economic Panel Meeting"が開催されました。
"Asian Economic Panel Meeting"は、アジアの研究者・研究機関を中心に、アジアの政策について議論をする場であり、2000年からAsian Economic Papers (MIT Press)というジャーナルを発刊しております。
米国のコロンビア大学、慶應義塾大学21COE(市場の質に関する、経済学部・商学部連携研究)、韓国経済政策研究所(KIEP)、米国ブルッキングス研究所を核に、カリフォルニア大学、韓国大学、香港大学、フィリッピン大学、インドネシア大学、中国社会科学院、(中国)人民大学、アラヤ大学、タマサート大学(タイ)、オーストラリア国立大学、台湾国立大学、さらには、アジア各国の研究機関と連携した研究を続けています。
今回の慶應義塾大学での国際コンファレンスは、アジア各国・アメリカ・オーストラリア・ニュージーランドからの参加者25名を含め30名以上の参加のもとに、2006年9月29日・30日の二日間にわたって、創立150年記念行事の一つとして、三田キャンパス東館6Fで開催され、塩沢修平経済学部長からの挨拶では、長い伝統を持つ慶應義塾の歴史についての説明もなされました。

当日の詳しいプログラムはこちら

当日の写真当日の写真

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【経商連携21世紀COEプログラム事業推進総括者 吉野直行慶應義塾大学経済学部教授のコメント】

アジア地域は、1997年・98年のアジア通貨危機を契機に、さまざまな政府間の連携が進んでいる。アジアの特徴は、各国とも高い貯蓄率であることである。
しかし、この高い貯蓄の多くは、アメリカ・ヨーロッパに運用されている。アジア域外に投資された資金が、再びアジアに投機的な資金として投資され、為替の不安定化をもたらし、タイ・インドネシア・韓国などアジア諸国の経済に大きな打撃を与えてしまった。せっかくのアジア諸国の高い貯蓄が、上手くアジア地域内を流通していない。
その理由としては、預金・貸出市場は発達しているが、長期で安定的な資金を提供する債券市場の未発達、金融商品の不足、アジア地域の互いの国々の金融情報の不足、などに起因していると考えられる。こうしたことからアジア地域の金融連携が急務となっている。
これに対して、アジア地域では、海外直接投資により、生産を国境を越えた生産が進められており、貿易面では強い連携が進み、生産がアジア域内で連携を作りながら進められている(Prodction Networks)。
直接投資・貿易面での結びつきに加えて、金融連携を強めることによって、アジア各国の為替の変動を抑え、アジア域内の資金フローを活発化させることが必要である。

また、高齢化・教育の質の高度化も大きな課題である。日本は高齢化が進んでいるが、韓国も、一人っ子政策の中国も高齢化は大きな問題となっている。高齢化による貯蓄率の変化が、アジア各国で、どのように波及するかも興味テーマであり、今回の会議では、韓国の学者によるシミュレーション分析が発表された。
さらに、教育熱心なアジア各国の留学生のアメリカにおける教育の経済効果が報告されたが、アジア各国の教育の経済効果は、さらなる分析が望まれる。わが国でも教育の経済効果は、あまり分析されておらず、教育の質の向上が日本でも急務となっている。

アジア通貨危機以降のアジアの貿易・金融連携について、財務省篠原国際局長による特別講演、政策大学院大学の白石隆教授によるアジア連携の政治経済学的分析面からの特別講演、財政赤字と国債市場、銀行破たんの要因分析、アジアの貿易リンクに関する実証分析、アジア債券市場とアジア共通通貨単位の創設(AsianCurrencyUnit)、高齢化による貯蓄・投資バランスの変化とアジア地域間の経常収支への影響、中国の年金制度とその改革など、さまざまなテーマについての議論が活発に行われた。
アジア各国の高いレベルの研究者による国際会議を通じて、慶應義塾大学21COEの研究成果の発信、研究交流が進められている。
今後とも、こうした交流を通じた研究成果の交流を続けて行きたい。政治的には、日本とアジアの国々の間ではギクシャクしている面もあるが、経済学の研究者間による交流では、全くこうした問題もなく、率直な議論が行われていることを付言したい。