慶應義塾 創立150周年記念 未来をひらく 福澤諭吉展(福沢諭吉展)

福沢展 余録
企画の現場から

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福沢諭吉展と妙心寺展の微妙な関係

「福沢諭吉展」の第7部では、福澤諭吉存命中にその謦咳に触れ、後に大実業家となった人々旧蔵の名品を展観することで、日本の古美術品コレクション形成において、福沢門下生たちの影響力の大きさを実感していただこうという思いも込められております。

朝吹英二(柴庵)、益田克徳(非黙)、益田英作(紅艶)、高橋義雄(箒庵)、池田成彬、武藤山治、藤原銀次郎(暁雲)、小林一三(逸翁)、松永安左衛門(耳庵)、山口吉郎兵衛(滴翠)、高橋誠一郎

これらのコレクターの名前のうしろにある( )は、いわゆる号です。つまり、当時の大実業家の多くが号を称す茶人であったことがわかります。
それゆえ、今回の展示作品の多くが茶道具なっております。表慶館では、茶碗・茶入・茶壷といった陶磁器の展示、本館2階第2会場は書画展示となっています。

さて、ご存知のように茶の湯は、禅宗の喫茶にその淵源がたどれます。日本の近代茶人の茶の湯ももとをたどれば禅宗文化に行き当たるわけです。
「福沢諭吉展」では、重要文化財「大燈国師墨蹟」(凩墨蹟)などの禅僧の遺墨が出陳されます。茶の湯において墨蹟は床の掛物の第一といわれ、最も格の高い扱いをうけますが、本来は鑑賞の対象ではなく、師から弟子への教えでありったり、遺言であったりしわけです。

ところで福沢諭吉展は一足早くOPENしましたが、お隣の平成館では1月20日から「妙心寺展」が開催されます。

妙心寺といえば、臨済宗妙心寺派の大本山。HPを拝見しますと、寺院ゆかりの作品を通観しながら、寺院の歴史と禅宗の思想・文化を満喫できるような展示のようです。

もうお分かりのように、妙心寺展と福沢諭吉展は「茶」という接点を持ちながら、お隣同士で開催されているのです。

「妙心寺展」で禅の文化の奥深さにふれたあと、「福沢諭吉展」で近代数寄者が点前に使った名器・名碗を鑑賞するもよし、「福沢諭吉展」で名品茶道具を通覧しコレクターの圧倒的経済力と作品収集への熱い情熱へ思いを馳せた後、「妙心寺展」で茶の本源に立ち戻るというのもよし、というところでしょうか。

2つの展覧会、つなげて見ると、あたらしいものが見えてくるかもしれません。喫茶居。

2009/01/12 2:32:00
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