慶應義塾 創立150周年記念 未来をひらく 福澤諭吉展(福沢諭吉展)

福澤研究センター 都倉武之が語る
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少女との写真、ケースに戻る。

Sf 福澤がサンフランシスコの写真屋の少女と撮った有名な写真は、皆さんご覧になったことがあると思います。

今回の展覧会に展示するため、この写真を修復しました。革張りの立派なケースから外し、撮影されて以来外されたことがなかったと思われる金属製の枠を取り外しました。表面のガラスをクリーニングしたり、裏面に塗ってある黒い塗料の剥がれを補修するなどの作業が行われ、見違えるようにきれいになりました。

今日、その作業が終わった写真をケースに戻す作業に立ち会いました。写真は、今回修復をお願いした写真修復家の白岩洋子さんによって、写真が再びケースに収められる時の様子で、白い紙の中に、ハダカの状態の写真が見えます。

ケースに戻すと、画像のフチの部分が見えなくなってしまいます。今回の展覧会図録には、ケースに戻す前の写真の画像を掲載してありますので、教科書などによく出ている、金のフチのある写真と見比べていただけると、ちょっと印象が違って面白いと思います。

この写真は、現在残っている福澤の写真の中で最も古いものの一つで、少し浅黒い、まだ垢抜けない顔をしています。咸臨丸の仲間を出し抜いて、女の子と写真を撮ることを「しめしめ」と思っているかのように、少しほくそ笑んでいるような表情です。

撮影した日は雨だった、と福澤は『福翁自伝』に書いています。羽織を着ていないのは雨に濡れて、それを脱いで撮ったから、などとよく想像されますが、袴も着けず、刀もありません。ladyとの写真に、そんな厳めしいものはいらない、というような意識が、すでに福澤にはあったのかもしれません。それにひきかえ、少女の表情は随分こわばっていて、好対照です。少女の頬と福澤の唇には彩色がなされていて、うっすらピンク色です。

この写真を図録のために複写したとき、カメラマンがあることに気がつきました。「ヒゲ」です。この写真、よく見ると、福澤の無精ひげまでよくわかります。福澤は自分のことを「ヒゲだるま」とおどけることがあるほど、かなり毛深かったらしいです。展示や図録でそこまで見えるかどうか…。もしよろしければ、ご注目下さい。

この写真の展示は、各会場の開催期間の半分ずつです。その他の期間に出る別の写真は、同じく咸臨丸でアメリカに行ったときに一人で撮ったものですが、余り知られていません。さらに、この時もう1枚持ち帰った写真があるのですが、御存知でしょうか?その不思議な写真について、今回の修復で面白いことがわかりました。次回はそのことをご報告します。

2008/12/06 22:22:00
未来をひらく福澤諭吉展 2009 東京,福岡,大阪

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