慶應義塾 創立150周年記念 未来をひらく 福澤諭吉展(福沢諭吉展)

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福澤武さんの講演会

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開幕3日目の本日、東京国立博物館平成館大講堂にて第1回目の記念講演会が開催され、多くの方にお越し頂きました。最初の講師は慶應義塾評議員会議長で、三菱地所相談役の福澤武さん。

福澤さんは、諭吉の次男・捨次郎の孫(諭吉の曾孫)に当たる方で、福澤家ならではの思い出話や、諭吉の血を継ぐがゆえに今まで思われたことなどを、「私にとっての福澤諭吉」と題し、ユーモアを交えてお話し下さいました。

お話に登場したエピソードを、展示との関連で2つ紹介いたします。まず諭吉がお嫁さんの話を聞いて、息子捨次郎を叱ったという話。福澤武さんが祖母の菊さん(捨次郎の妻)から聞いた話だそうですが、新婚当初、捨次郎は家の中で犬を飼っていて、菊さんはそれが大層怖く、そのことを諭吉に相談したそうです。すると諭吉は、早速捨次郎に、そういうことではいけない、と改善を要求、家の中から犬はいなくなったとのこと。展示の第2部、福澤諭吉の女性への心遣いがかいま見えます。

いま一つは、福澤武さんが、諭吉を身近な人と感じたきっかけとして挙げられた『開口笑話』という本の話。これは福澤諭吉が創刊した日刊新聞『時事新報』に掲載されたアメリカンジョークの日英対訳コーナーを、のちに本にまとめたもの。その中のいくつかのジョークを紹介されました。まさにそのジョークコーナー、それもご紹介になったジョークの一つが、第5部の時事新報の場所に展示されています。「容易なる決断」というタイトルで、図録にもその画像が掲載されています。

当時の新聞は、いまでは使われない仮名も交じっているため、読みにくいのですが、他にも分かり易いジョークをいくつか掲げてありますので、ぜひ足を止めてみて下さい。

「容易なる決断」の邦訳全文は以下の通り(表記は分かり易く改めました)。

ある人がその子を教育するにいかなる方向に導いてしかるべきや、その好むところ、長するところを知るこそ要用なれとて、一室に聖書(バイブル)とリンゴと一円札とを置き、室内に子をとじこめて外出したるは、留守中にその子が聖書を読みつつあらんか、もって僧となすべし、リンゴを食いつつあらんか、もって農となすべし、もしまた一円札をもてあそびつつあらんか、もって銀行者たらしむべしと思案を定めたることなり。さて親父がいよいよ帰り来たりて室の戸を開き見れば、かの童子は聖書を尻の下に敷いて、一円札を懐にねじ込み、リンゴはほとんど食い尽くしてありければ、これは屈強なりとて政治家に仕込みたりとぞ。
(明治24年8月16日付。図録では8月24日付と誤記してしまいました。申し訳ございません。)

ご参考までに申し上げますと、慶應義塾では今でも重要な式典などに福澤家の方をお招きして尊重しておりますが、経営は完全に独立しています。戦後すぐまでは「慶應義塾社頭」という名誉職に、代々福澤家の方が就いていましたが、今ではそれも空位になっています。

引き続いて行われた猪木武徳さんの講演についても次回ご報告いたします。

2009/01/12 23:00:00
未来をひらく福澤諭吉展 2009 東京,福岡,大阪

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