日吉キャンパス蝮谷体育館(仮称)新築工事に伴い発見された 日吉台地下壕の入口について |
2009/04/09 |
慶應義塾では、創立150年記念事業の一環として、日吉キャンパス蝮谷体育館(仮称)新築工事の準備を進めてきましたが、昨年9月末、本工事に伴う掘削工事中、計画建物東側の斜面の中からアジア太平洋戦争時に帝国海軍の中枢機能が置かれた日吉台地下壕の入口3箇所が発見されました。この3箇所の地下壕入口は計画建物に一部重なる位置にあり、計画通りに施工するためにはこの地下壕入口を部分的に解体しなければならない状況であることが確認されました。
義塾にとって、この体育館建設は日吉キャンパスにおける教育環境の改善のための喫緊の課題ではありましたが、日吉台地下壕の歴史的価値と保存の意義は研究教育に携わる機関として非常に重要なものと認識しておりましたので、すぐに工事を中断し、その対応方法について慎重に検討を行いました。その結果、最も適切な方法を総合的に判断するため、この日吉台地下壕入口に関して、体育館新築工事の計画内容を踏まえ、保存方法(現状保存あるいは記録保存など)について審議する有識者による諮問委員会を立ち上げることとなりました。体育館建設による教育環境改善の実現と日吉台地下壕の保存というこの二つの課題をいかに両立させるか、という観点から慶應義塾が検討・提示した三つの対応案を含めて、平成20年12月17日から4回の委員会を開催し、審議した結果、平成21年 1月21日に答申書が提出されました。
これを受け、義塾は、体育館建物配置を北側に移動する形に建設計画を見直すこととし(下図参照)、設計変更の作業や官庁手続き、発掘調査などを行い、平成21年4月中旬より工事を再開することとなりましたので、ご報告させていただきます。
地下壕4a入口(3箇所のうち最も北側の入口) |
地下壕2a入口(3箇所のうち最も南側の入口) |
体育館配置計画の見直し |
・慶應義塾大学文学部教授 | 阿部 祥人 |
・慶應義塾大学文学部准教授 | 安藤 広道 |
・慶應義塾塾監局管財部長 | 紺野 美英 |
・立正大学名誉教授 | 坂詰 秀一(座長) |
・尚美学園大学総合政策学部教授 | 櫻井 準也 |
・山梨学院大学法学部教授 | 十菱 駿武 |
・慶應義塾大学文学部教授 | 高山 博 |
・横須賀市教育委員会 | 野内 秀明 |
・慶應義塾大学文学部准教授 | 山口 徹 |
・神奈川県教育委員会 | 井澤 純(オブザーバー) |
・神奈川県教育委員会 | 近野 正幸(オブザーバー) |
・横浜市教育委員会 | 今井 康博(オブザーバー) |
・内部調査 平成21年1月8日((株)東京計測実施)
・試掘調査 平成21年1月16日〜20日(慶應義塾大学文学部民族考古学研究室実施)
以上